青栁派の硯展

宝研堂の硯工房として戦後、二代目 青栁保男から継承し続ける製硯方法を、四代目“製硯師”青栁貴史の手を通して発表する、初の個展を兼ねた硯展。
現代における硯の石材事情、技術、流行、状況を後世に伝えることを目的とし、記録書籍『製硯師』も刊行される。

青栁派の硯展は終了いたしました。
ご来場誠にありがとうございました。
今後の青柳の活動は、InstagramFacebookページにて、デザイナー藤田がお送りいたします。

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書籍『製硯師』

書道で使われる文房具の中で、硯は特別の存在です。原石が採れるのはごくわずかの地域なので、その希少性と美しさは文人たちのあこがれの的でした。
斧柯千古、仙局を留め、雲は半山に暗く、紫玉を含む。
地中深く美しい石(紫玉)が眠る中国の山、斧柯山をうたった漢詩です。眠りから覚めた石は名人の手によって美しい硯へと変身し、皇帝に献上されたのです。
しかし現在では、原石が採掘できる場所はさらに少なくなり、採掘量は年々減る一方。硯職人も減り続け、そのほとんどは高齢者で占められるようになってしまいました。
東京浅草に店をかまえる宝研堂の四代目、青栁貴史さんは、このような状況に危機感を覚えました。そして、硯になるまでの部分的な工程を請け負うのではなく、原石の選定からさまざまの工程を含む彫り、仕上げ、さらに流通に至るまでを一貫して行う「製硯師」の存在が不可欠だと考えたのです。そのために必要なのは、あらゆる石に関する知識と、多様な硯式をこなせる技術です。中国歴代の格調高い硯を模刻し、紋様の刻を学び、大家愛用の硯を復元する。従来の硯職人の枠を超える「製硯師」の誕生です。
展示会「青栁派の硯」では、38歳の青柳貴史さんが制作した硯25面と、祖父、父の硯が展示されます。伝統的な名硯に倣った重厚な硯や、石材や寸法、技法まで忠実に再現する夏目漱石愛用硯の復元、そして新しい硯式を提案する意欲作の数々。
目指したのはデザインの斬新さではなく、石そのものが持つ美しさを引き出すこと。手のひらに乗る、自然の絶景そのものです。
書籍『製硯師』は、展示会に出品された硯の写真を中心に、製硯師青栁貴史さんの歩んだ道、現在の思いと夢、輝かしい将来へ向けた熱い情熱を語るものです。美しい写真と文章によって、硯作りの現在を知り、硯の、そして書道の未来への扉を、ともに体験していただければ幸いです。

(天来書院 比田井 和子)

2018/2/20発売
展示会場・天来書院Web・Amazonにてお求めいただけます。

天来書院Web

製硯師 青栁貴史

1979年2月8日 東京都浅草生まれ
16歳の頃より祖父青栁保男、父彰男に作硯を師事。
日本、中国、各地石材を用いた硯の製作、修理、復元を行う。
宝研堂内硯工房四代目製硯師
大東文化大学文学部書道学科非常勤講師

趣味
車、日曜大工、語学
好きな食べ物
鴨せいろ蕎麦

  • 青栁 保男

  • 青栁 彰男